宝石箱
NGC 3603
2007_10_02
 何千もの輝く若い星が,巨大な星雲NGC 3603の内に集まっている。 この星の「宝石箱」は,銀河系星雲の中で最も重く,若い星団のうちの1つである。 NGC 3603は,りゅうこつ座の方向,約2万光年の距離にある。天の川銀河のりゅうこつ腕(渦状の腕)の中にあり,そこでは活発な星形成が進んでいる。HSTがとらえた画像には,大量のちりとガスに囲まれた若い星団が写し出されている。
 星団に存在する高温の若い星からは,高速の太陽風が吹き強烈な紫外線が放射され,星団の周りに大きな泡のような構造を作っている。放射はその周囲の星雲中を伝わり,数光年もの長さに伸びる巨大な濃いガスの柱を削っている。このようなガスの柱には,生まれたばかりの星が存在していると考えられる。また,画像中右上には,「ボックグロビュール」と呼ばれる暗黒星雲が小さくとらえられている。この暗黒星雲を形成しているちりやガスの質量は,太陽の10倍から50倍ほどもある。ボックグロビュールは,昆虫のまゆのようなものである。画像にとらえられているボックグロビュールの中でも,すでに新しい星の形成が始まっているかもしれない。
Hubble